静かな眠りにつくその前に
ほんのひととき 燃え立つ命
なにひとつ残すつもりもない
ましてや想い出など
何をしても楽しかったあの頃
いつだって大好きなあなたがそばにいてくれたから
よそ見しながら
ただただ前へと駆けていた
あの頃の私のままで
雨だれの音を聴きながら
気ままなおしゃべりをしよう
温かいお茶を淹れてあげる
僕の隣にお座り
星も月も霞むほど
輝け
いつわりのともしびよ
わたしの命をすべて燃やして
早すぎる雪に
失くした恋を思う
こんなにも寒い日にだって
笑い合えていたあの頃の僕らを
誰も知らない私を
あの夜 あなたが見つけてくれた
思い出にしてしまおうか
まだ少し迷ってるの
甘いミルクティーで
冷えた両手を温めながら
思い出は星に変えて
次の旅へ静かに漕ぎ出す
時々見上げて君を思った
あの空の向こうへと
思い出さないように
泣かないように
ぎゅっと我慢して
一粒の涙が
取り戻せない後悔の始まり
いつもの喫茶店に
新しいアルバイトの子がいたのよ
あのかわいい制服がよく似合っていたわ
あなたはもう会ったかしら
楽しいことは
たくさんたくさんたくさんあった
みんなみんな
弾けて消えて何もない
お日さまの子どもたちが
つやつやほっぺを寄せ合って
笑ってる
あんまりかわいいと…
食べちゃうぞ!
知らない誰かの物語の
通行人になろうと街へ出る
この扉の向こうで
素敵なシーンの気配の中
コーヒーなんて飲んだりしてさ
小さくなったり大きくなったり
色を変え 形を変える
お月様ってとても気まぐれね
そしてふたりは心のなかで
君みたいにね、って呟くの
どこが真ん中でどこが始まりだと思う?
私が見ているのと同じ景色を
隣で見ているはずだった君
何も話すことなんてなくても
ただなんとなく一緒に時を過ごす
今夜も
ストーブの匂い
シチューの匂い
ミルクティーの匂い
冬の記憶は
あったかい匂いばかり
天空を駆ける恋
高いところが苦手な君と
それをからかう僕と
2人のふざけあう声が
秋の空に吸い込まれたあの日
君を待ってるのだって
楽しかったんだ
いつか君が
帰って来ると思えばこそ
ひとりでだって
何処へでも行けるさ
今までだって
そうしてきたじゃないか
ずっと
一緒にお出掛けして
一緒にごはんを食べたわね
それからお茶もいただいたわ
何度も何度も
思い出のこの味を
また来年ご一緒しましょうね
おいしいね、って
笑ってごはんを食べたこと
そのことは私
信じているかもしれない
何よりも
誰も知らない美しい夢
咲かすも散らすも
私ひとりの心のままに
ふたつの心もようの
重なるようでどこか合っていないような
優しい曖昧さと甘やかな感傷に溺れる
時計の刻む音の
ほんの少しの隙間のこと
この街の
どこかいいとこ知らない?
歩き疲れたから
少しお話ししましょうよ
まるでずっと
何も変わっていないように
見えていたとしても
呼吸をして
泣いて笑って
ごはんを食べて
寝て起きて
毎日少しずつ生まれかわっている私