私の夏を全部置いて
振り返らずに私は行きます
いつもより少し強く
スキップを踏んで
ここがどこだかわからない
新しい旅に出たいのだけれど
静かな夜にひとり
夜更かしはダメ悲しい気持ちに囚われて
涙と不信でできた沼に溺れてしまうから
悦びにもがき苦しんで
沈んで行きたい
この胸に 泥水を目一杯飲み込んで
私はここでしか咲けない
歪な愛の花
古い物語から飛び出して
新しいお話の時間です
今夜はどんな王子様が
素敵なダンスを教えてくれる?
細胞の一つ一つが生まれては死んで
あなたの感触を知る私は
最早存在しない
そうしてあなたの存在が
少しずつファンタジーになってゆくの
君に会いたい
ただ笑いあうために
くだらない話をして
美味しいものを食べる
それくらい元気だと
確かめたいから
誰も知らなかった
新しい私を
あなたがここへ
連れて来てくれたの
時はただ過ぎ行き
すべてが消えてなくなるからこそ
静かに記念碑をこの胸に抱く
それはまるで
幸せな記憶の墓所のようで
去年の夏の忘れもの
取りに来ることができなかったら
ごめんね
千々に乱れるもの想い
隠しても見え隠れる
湿った夏の風に
秋の気配
時はただ過ぎていくだけ
いつも同じ速さで
残酷とか救いとか
思うのは勝手だけど
僕が困らせた君は
長い間僕を悲しくさせた
それでも僕は
君と一緒に時間を過ごしたい
近くて遠い
仲の良い友達
ずっとずっと
何も変わっていないように見えても
今はもう何ひとつ
あの頃と同じじゃない
私の勇気が
あまりにも小さすぎたから
くしゅっと縮んで爪先に当たって
風に吹かれて飛んでった
それはまるで
紙くずみたいだったよ
あの時の私に
そのままで大丈夫って言ってあげたい
そう言えるように
もっとがんばらなくっちゃ
振り返りたくなるほどの
何かがあるからこそ
振り返らず行く意味がある
ささやかで美しい秘密をたくさんたくさんたくさんかさねて
胸の奥に織り上げた
いつか風に葬られる 砂の城
かつての真実を
今の都合で解釈したくない
間違っていても
私にはあの道しかなかった
君のためならきっと
いつだって
笑顔になれる
去年の夏よりも
強い私をありがとう
燃え上がる欲望のなかに
本当の心を静かに置いた
誰にも触れさせないように
君の髪を揺らした
その微かな風が
僕の鼻先をくすぐる
夢のように
通り過ぎる夏
空が
ゆっくりと夜化粧をする間お喋りに興じる振りをして
僕は
美しい君の横顔を見ていた
まわり道してるの わかってる
でもいつか必ず
僕が行ってあげるから
もし君がもう そこにいなくても
君の困った顔なんて
見ていられる気がしない
弱虫な僕は
冗談ばかりを探す