歩く速度を変えて
私の中に吹く風を変える
ひとときに幾つもの季節を巡らせて
ずっと遠い未来みたいな明日が見たいの
最後の一粒が零れ落ちそうなのを
誰もまだ知らない
美しかった夏の日を映す
君の涙の代わりに
ほんの一瞬
いつもどおりの毎日に
運命が紛れ込むことがあるの
本当よ
心淀まぬよう
いつでも何かに掻き乱されてたい
退屈なんてきっと
死んだら死ぬほど味わえるもの
追いかけも追われもしないで
ただ気がついたら
隣を歩いてた
笑い転げながら
在るべき場所は自分で選べる
そう信じなきゃ
生きてなんかゆけない
代わり映えしない毎日を
素敵なことだけ数えて歩く
そうやってちょっとだけ
自分に魔法をかけるの
希望だけが失意を癒す
抗え、あたし
いつだって光は味方だった
進んで行けよ
明るい光の射す方へと
元気のない時には
柔らかな微笑みを乗せたこの顔を
いつもより少し上げる
暖かく輝く陽の射す方へと
甘くて甘くて甘くて甘くて
ポップでジューシィな君が好き
空腹も気にならないほど
満ち足りた気持ちで
私の願いはひとつ
あなたが今日も幸福でありますように
あの日と同じ月なのに
まるで違って見えるのはなぜなの
そしてそのことが
こんなに悲しいのはなぜなの
結末のわかりきった物語
すり切れて音の悪くなったレコード
着古してリブの伸びたセーター
予定のない日の喫茶店
おひさまの匂い
に包まれて天井を見上げながら
たくさんの恋と冒険をした
眠れない夜のこと
取り澄ました笑顔の奥から
本当の私が
たぶんもうすぐ世界を覗く
ちょっと一服するように
時々思い出せるようになるといいな
君のこと
橙色の夢を通り過ぎれば
行き場のない想いも
いつか思い出になると
今はもう知っているのさ
さざめく笑い声の中で
君を探せない
あの日の月明かりだけが
弱い僕らを照らせるだろう
君がどこかで迷子になっている時も
この扉は
ここで静かに待っている
毎日は愉快に過ぎてゆくけど
笑っているのは
本当は不安だからなのさ
自由気ままもいいけど
心と身体を空っぽにして
身を任せてみたい
一度くらい
本当はもう見えてるの
変わり映えしない毎日の向こうに
なんとなく希望なんて呼べるような
ただ新しい何かが
つくるこわすまたつくる
やりきれないほど退屈な日々を
そうして過ごす私たち
光る魚の腹に
君と食べたたくさんの
美味しいごはんの思い出を映す
恋する私の瞳
優しく抱きしめてくれる人
肩を叩いて笑わせてくれる人
今夜はどんな恋人に悲しい夜を委ねよう
レコード棚の前でアルファベットを眺める移り気な私