何一つ変わっていないように見えるでしょうけど
昨日までの私は もうどこにもいないの
冷たい風に吹かれながら
想像とはちょっとだけ違う今日を踏みしめる
時々思い出す
果たされなかった小さな約束や
突然 会えなくなった友達
私の心の中だけにある
ささやかな出来事やなにか
行き先を
あれこれ想像していた
旅立ちは
意外なほどあっけなくて
甘い花の香り
と
君の声
よく晴れた秋の日の
木陰で揺れていた
うっかり鼻歌なんか歌ってみたり
誰かとすれ違いざま
声を小さくしてみたりして
いつまでも「また会いたい」と思ってもらえる私でいたい
どうせならちょっとでもおもしろいほうがいい
ちょっとくらい道を逸れたって
ないしょ話のつもりでもないけど
他愛ない話を
今この時にしか笑えないような
些細なやり取りを
鼻から入った匂いが
胸いっぱいになったとき
すごく幸せな気持ちになるの
生きてる、って思う
ただ静かに
音楽の話をしようか
温かいコーヒーを淹れて
レコードをかけてもいいよ
一緒にここに居なくても
僕らは同じ 午前零時の雨の中
どんな時も
軽やかに見えるといいな
胸しめつけられるほど
君を思ってる時でさえ
日常に身を任せたふりをして
風が吹くのを待っていたの
掴めそうで掴めない
ここではないどこか、ではない
私の行き先